包括的性教育をすることで、子ども・若者たちの親を見る目が変わったり、家族を壊してしまったりするのでしょうか?
FACT:包括的性教育は、家族や性の健康に対してポジティブに学ぶものであり、親をサポートするものです。
包括的性教育の内容や家族関係への影響を不安に思う保護者もいるかもしれませんが、ユネスコ『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』によると、このような保護者の不安は、包括的性教育についてよく知らないことからきていることが多いとしています。
✓包括的性教育では家族についてどう教える?
ユネスコ『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』では、キーコンセプト1. 人間関係の最初のトピックに「家族」があります。
その学習目標の中では、
・子どもに価値観を教える上で、家族のメンバーは重要です。(5~8歳)
・親/保護者や他の家族のメンバーは、子どもが価値観を獲得するのを助け、子どもの決定を導き、支援します。(9~12歳)
・成長するということは、自分と他人に責任を持つようになることを意味します。(12~15歳)
・親/保護者と子どもの間には、特に思春期によく見られる葛藤や誤解がありますが、通常は解決可能です。(12~15歳)
といったことも含まれます。
✓包括的性教育における親・保護者の役割
そして、ユネスコ『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』によると、包括的性教育は、親の役割を引き継ぐものではなく、むしろ、親との協力関係を築き、親を巻き込み、親をサポートするものであるとしています。
セクシュアリティや健康的な人間関係についての情報やサポート、ケアの最初のよりどころとして、親や家族はとても大切な役割を果たすからです。
そして、ほとんどの親は、学校における質の高い包括的性教育に賛成しているともしています。
多くの親たちは、子どもと共に「性に関する問題」について話し合うことための情報・サポートや、難しい状況(子どもがインターネットでポルノを見ているとき、あるいはSNSでいじめられているときなど)に対応する方法、そして、正確な情報にアクセスし提供する方法を必要としていて、その点で包括的性教育を高く評価している、としています。
日本においても、2023年10月の日本世論調査会がまとめた調査によると、中学校以下の性行為や避妊について学校で教える制限となっている「はどめ規定」をなくすべきだとの回答は88%に上ったとのことでした。
その理由として「正しい知識を得られるから」が44%と最も多かったそうです。
包括的性教育は、家族を壊す思想ではなく、むしろ親と共に、子どもの家族や様々な人間関係を含めて学ぶ機会を提供し、子ども・若者たちのウェルビーイングにつなげていくものなのです。