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性教育へのニーズとはどめ規定のギャップとは?

  • 2月17日
  • 読了時間: 5分

更新日:2 日前

 現在の学習指導要領では、「妊娠の経過(性交)」について集団指導では取り扱わないとする「はどめ規定」があるものの、生徒の状況に応じて保護者の理解を得ながら個別指導により対応することが可能とされています。これは、中学校の段階では子どもたちの発達に差があることが理由とされています。(2025年6月13日文科大臣答弁)しかし、妊娠や避妊に関する知識、性的同意の前提として必要な性交やその結果起こりうることについての知識は、授業の一環ではなく「個別に必要があるときだけ伝える」形にとどめてしまってよいのでしょうか。

 子どもや若者が知りたいことは、どんな内容でしょうか。そして、教育の不在を経て大人になった人々が、子どもの頃に知りたかったのはどのような学びでしょうか。ここでは、若者、一般市民、保護者、そして教育関係者に対して行われたさまざまなアンケート調査から、今を生きる人々の性教育に対するニーズを深掘りしたいと思います。


性教育に対する人々のニーズ

✔若者の声―性交や避妊について正しい知識を学びたい

  • 多くの若者が、学校で受けた性教育について「内容が不十分」と感じていた。1)

 (理由:性交渉や避妊に関する具体性の不足、多様性や人権教育の欠如)

  • 「もっと早い段階で具体的な性知識を学びたい」という声が強く、中1までに避妊や性行為について学校で教えてほしかった人は6割を超えた。2)

  • 自分の性に関する知識が十分にあるか「わからない」、または「ない」と答えた若者は過半数にのぼり、学校教育は抽象的すぎるとの指摘が多数。3) 教職志望の大学生への調査でも、自分に性に関する正しい知識があるかわからない/ないと答えた若者は8割を超えた。4)


✔一般市民の声―具体的、包括的な知識を

  • 世論調査では、88%がはどめ規定撤廃に賛成し、6割以上が包括的性教育導入を希望した。5)

  • 性教育の開始時期は「小学校高学年から」や「10〜12歳から」が多数5)6)7)

  • 多くの調査で避妊、性行為、性的同意などの具体的・包括的な知識を15歳の義務教育終了までに知るべきだと考える人は7割を超えている。8)


✔保護者の声―自分が学んでこなかったからこそ、子どもには

  • 小学生の保護者のうち50%以上が、小学生のうちに性交について学んでほしいと回答。9)

  • 自分自身の子どもの頃の性教育の不足を悔やんで、乳幼児期からの性教育を望む声も多い。10)

  • ネットやSNSを通じて性情報に触れるのが低年齢化している現状では、「生命の安全教育」の内容は不十分だと指摘する声が挙がった。11)

  • 包括的性教育は77%の保護者が「子どもに必要な教育」と答えた一方で、「幅が広すぎてどこから伝えていけばいいかわからない」等の意見もあり、大人が理解を深める必要性も示唆された。11)


✔教育関係者の声――性教育の拡充が必要

  • 教育委員会の約7割が性教育の拡充を「必要」と回答した。12)

  • 49%が「指導要領以上の内容を認めたい」としている。12)

  • 保育士の調査では、養成課程での学習経験がなかったことから8割以上が学びたかったと回答した。教職志望の大学生も8割以上が知識不足を自覚し、性感染症予防や安全な避妊法などの学習を9割以上が強く希望した。4)


調査が示す3つのメッセージ

  1. 実践につながる具体的知識

曖昧な内容ではなく、実践につなげられるような具体的な知識を求める声が寄せられていました。


2.もっと早期からの教育を

中学生までには妊娠や避妊について知りたいというニーズが強く、小学校高学年からの段階的、系統的な学習が求められています。


3.大人や教師らが学び直せる仕組みを

家庭や学校で子どもと関わる大人自身が学ぶ機会がなかったことから、子どもへの教育だけでなく、教える側が安心して学び直せるような仕組みも必要であることが示唆されます。


 現在、熱心な教師・外部講師・NPOなどの努力により点としての授業は成立している場所もあります。しかし、ここでみてきたように、若者はもちろん、一般市民、保護者、教育関係者などいずれの層にも「もっと具体的に」「もっと早くに」性について正しく学びたいというニーズがあることが分かりました。

 自分のからだや自分のからだに起こるかもしれないことについては、特別な場合にだけ伝えるのではなく、義務教育のなかで最低限必要だとされる学習範囲に含めるべきではないでしょうか。すべてのこどもたちが学習できる制度的な保障が必要であることが示唆されます。


参考資料

5)日本世論調査会(実施主体)(2023)「『子どもの安全』に関する全国郵送世論調査」(中学生の性教育における歯止め規定についての設問) 

12)朝日新聞(2025年6月12日)「性教育の拡充、教委の7割『必要』 指導要領以上『認めたい』も半数」


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